別荘建築  home 執筆・編集 (有)土屋建築 土屋紀明  
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11. ウッドデッキ 

2007.1

 別荘建築のポイント @

私の工務店は
一般住宅も造りますが、場所柄、それ以上に軽井沢や北軽井沢などで、別荘を多く手がけています。 
これから数回に分けて別荘建築についてのポイントになるような事を書きたいと思います。



今回のテーマは結露です。
家の話で、結露と言うと、「冬・窓がびっしり濡れて大変だ。」とか、「押入や内壁下側が結露するので黴くさくて嫌だ。」というような他にも、
壁内部の結露と言うのもあります。もしそれがひどい場合、腐朽菌(木材を栄養にし腐らすカビ・キノコ類)が発生し、やがて柱や土台が腐ってしまう事に・・・。 寒冷地で、温暖地と同じような一般的な造りをするとよくある事なのですが、このような壁内結露の場合、なかなか目に見えないので数年から十数年経って問題が出てこないと解りませんし、また早くに問題が発見できたとしても根本的な解決はするのは簡単ではないのです・・・。何か簡単に解決法がある様な事を言う人もいますが、本格的な対策は、かなりの費用がかかります。)
また、そんな工事をする人に文句を言っても、「結露は、仕方がない・・・・。」と言うように知らないのを認めるならまだ良い方で、 「壁の中(グラスウール内側)に空気が通った方が腐らない・・・。」と言うような、なにか納得してしまいそうな事を言ったりします。(尚、このような話は良く聞きますが間違いです。)
なんとなく知っていそうで以外に知らないのが「結露。」それに、後で後悔しても間に合いません。
 そんなわけで、これから、特に寒い地域で家を建てる人で、家を長持ちさせたいと考えているなら、住宅での結露の知識は知っておいた方が良いでしょう・・・。 



 とは言え、結露の事だけの本が出ているほど広範囲な事をこのページで全て説明するのは無理なので、




 以前、「高断熱・高気密工法の始まりは、家を、結露で腐らせないために始まった技術。」という事を書きましたが
この場合、なかなか目に見えないですし、10年くらい経たないと解りません。

あなたが、家を長持ち

特に現在建てられている家では、(木造)が、柱や土台が腐っていく原因で、かなりのウエイトを占めています


 以前、「高断熱・高気密工法の始まりは、家を、結露で腐らせないために始まった技術。」という事を書きましたが、


結露は、現在、各地に建てられている家(木造)が、柱や土台が腐っていく原因で、かなりのウエイトを占めています。
と言うのも


断熱・気密工法に明るい人は、割合、正確な知識を持っています。 しかし、建築関係者でも、感覚だけで理解している人も多く、そのほとんどの人は、かなり的外れな事を言っているな〜と感じている話題でもあります。  それだけ、奥の深い事柄と言えるのでしょうが、あまり細かな話しまですると大変なので、内容を絞って書いていきたいと思います。

 尚、今回書く事は、たぶん、今結露で悩んでいる人にすぐ役立つ事は少ないかと思いますが、これから家を建てる人に参考になるような話しにしたいと思っています。


 結露って何? なぜ結露するの?




軽井沢や北軽井沢・嬬恋などの別荘地で老後は生活したい。 と言う人は多いようです。
その目的で、当社が工事を携わった人も多いですし、「中古別荘を最近買いました・・・将来永住するんです。」 と言う人もよく会ったりします。
そういう人に、「冬は、かなり寒いですよ・・・。」と言うと、大抵 「えっ・・そうですか?・・・。」というような反応。
日本列島、北に行くほど寒いというのが意識にあるようで、
「軽井沢のように日本地図の中ほどで、東京から新幹線で1時間程度で着いちゃうような所が、そんなに寒いわけない。」
と思っている様です・・・。 実は、軽井沢や北軽井沢などが、他より寒いのは、
標高が高いからなのですが・・・。


 次世代断熱基準の地区区分

先ほどのような話しをすると、このような質問になります。 
では、実際、どんな気候をして、永住するには、どんな家なら快適に冬を過ごせるのか?
 
ここで、ちゃんと、断熱住宅関係の知識がある人が答えるなら、たぶん
「この地区は、次世代断熱基準の地区区分でU地区だから、その基準性能の住宅だと快適です。」
と言うような返事が帰ってくるはずです。

難しいので、解説すると、「次世代断熱基準」 とは、読んだ通り、「今後、日本の住宅の断熱性能をこのレベルにするべき。」
と言う目標みたいなもので、1999年に出来た基準です。 
また、「地区区分」 というのは、次世代断熱基準には、寒い所は寒いなり、暑い所は暑いなりの断熱・気密性能が決まっていて、
その地区がどの位の断熱レベルが必要か判断するために、気候により地域を区分けしたものです。  
詳しくは、マグ(グラスウールメーカー)のHP 次世代省エネルギー基準の地域区分 を見てください。

補足・・・ 以前(新省エネ基準1992年制定)の基準の地区区分は、区割りも、かなり大まかなものでしたが、次世代基準では、
全国を、T地区(寒い)〜Y地区(暑い)まで市町村別にまで区分けされてあります。



 
データーからの平均気温

次世代基準の地区区分からすると、北海道は
(一部を除いて)T地区になり、浅間高原周辺の、軽井沢、嬬恋村、
長野原町
(北軽井沢を含む町名)、草津町は、U地区になっています。  
ですから、これを見る限り、北海道の札幌
(T地区を代表して)の方が、長野県の軽井沢より、当然、寒いと思われるでしょう。
でも、本当は逆で、
軽井沢の方が実際には、年平均気温で0.6℃も寒いのです。  



当社施工周辺エリア

U地区  
嬬恋村 田代    年平均気温 7.1℃      標高 1230m   平年値アメダスデーター
 
U地区 
 草津町         年平均気温 7.4℃        標高 1223m    平年値アメダスデーター

U地区  
軽井沢         年平均気温 7.9℃        標高 999m     平年値アメダスデーター


T地区を代表

T地区 
 北海道 札幌    年平均気温 8.5℃        標高17m       平年値アメダスデーター


その他、参考に

U地区  
長野県 佐久     年平均気温 10.4℃       標高683m    平年値アメダスデーター

W地区  
群馬県前橋      年平均気温 14.2℃      標高112m     平年値アメダスデーター

W地区  
東京            年平均気温 15.9℃       標高6m    平年値アメダスデーター


 (上記の観測ポイントは、札幌は北緯43度、その他は北緯36度付近です。) 
尚、ポイントの気温は、気象庁ホームページ内のアメダス観測ポイントデーターです。

上記のデーターを、比較すれば、当社施工周辺エリアの気候が、ずいぶん寒い地域だということが分かります。
それと、標高と気温データとが相関関係にあることもわかるでしょう。 
(一般には、標高100m上がるごとに0.6℃下がると・・。)

また、T地区の札幌より、U地区にあたる浅間山エリア周辺の方が寒いのだから、地区区分自体、あまり正確でないと
思われるかもしれないですが、これは仕方がない部分もあります。 それは、市町村別で区分しているので、
標高格差が大きい地区では、対応出来ないのです。

具体的には、 嬬恋や北軽井沢の別荘地は、標高1050〜1300m位なので、(嬬恋村 田代標高 1230m)の
データーを参考にできますが、同じ嬬恋村でも、嬬恋村役場の標高は、850m。 
また長野原町
(北軽井沢は長野原町の一部)役場は、616mです。
これは、 (U地区  
長野県 佐久 標高 683m) に近い標高ですし、また気候的にも充分U地区が相当なのでしょう。
(このように、気候は、市町村別に調べるより、その土地の標高を目安に調べた方が、正確だと言える。)

 
永住するには、どんな家なら・・
 

ながなが、書いてきましたが、「軽井沢や北軽井沢・嬬恋などの別荘地には、北海道の札幌以上に厳しい気候にある。」
ということは理解されたと思います。 
森の2で書いている通り、北海道での断熱・気密工事の流れは、住宅の壁体内結露対策から始まったとも言えるので、
同じような気候をしているこの地区は、断熱材施工が悪いと、同じような問題が出てきてもおかしくないでしょう。

ですから、まずは、ちゃんとした知識と技術を持った業者に任せるのが、安全だといえます。 
その上で、断熱レベルですが、まずは、次世代U地区レベルを基準に考えていけばよいのではないでしょうか。



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