2   高気密高断熱編  home 執筆・編集 (有)土屋建築 土屋紀明  
検索サイトから直接このページに入った方のみ、クリック  検索サイトから直接このページに入った方のみ、左のボタンをクリックしてください 目次に戻ります。

2. 歴史と現在

2003.11

■ はじめに

私が、この高断熱・高気密工法を採用して、約10年近くなります。 
SHS工法登録店になって)
当時は、「エアーを廻す」などの会社が多く宣伝していて、一般の人も、「高断熱はともかく高気密なんかにすると家が腐る。」
なんて、いろいろ言われたものです。
でも、
高断熱・高気密工法の始まりは、家を、結露で腐らせないために始まった技術なのです。

■ 北海道での歴史


そもそも、日本での取り組みは、北海道での防寒対策から始まっています。
1953年、北海道防寒住宅建設促進法
(寒住法)で、防寒住宅の公庫融資支援が始まりました。
以降、グラスウール断熱材
(当時は30mm程度)やアルミサッシの普及が始まったのですが、十分といえず
内部結露・表面結露・すがもり
(寒冷積雪地特有の雨漏り・降雪後、屋根軒先以外の雪が暖房熱により融けることによって起る)
などの問題があったそうです。 それが住宅の工法を変えるきっかけになりました。

その後、オイルショックや1980年の省エネルギー基準による公庫融資支援などにより、住宅の断熱材が、50mmから100mmに

移行していきました。    
しかし当時の在来工法の高断熱化はたいした省エネにつながらず、壁体内結露の問題が出てきてしまったのです。

その対応に、産官学が
(北海道立北方建築総合研究所(旧、寒研)・室蘭工大の鎌田研究室・北海道建築指導センター・
北方圏住宅研究会・民間企業・他にも様々)
取り組んだ結果として、高断熱・高気密工法が、普及していったのです。
(普及のため 寒研職員が現場に出向き、気密指導をしたこもあると聞いている)

その結果、現在では、北海道の職人は、普通の工事として断熱、気密の工事を行っています。

■ 本州の状況と現在

本州でも、その流れを受け、
国民金融公庫の仕様書に、グラスウール系断熱材の正しい施工方法が、書かれたり、
省エネルギー機構の断熱技術者講習会 
(私も平成3年に講習・登録、初めて聞いたその内容に衝撃を受けた)
も、行ってはいたのですが、あまり認知されていきませんでした。
それどころか、間違った考え方をする人が、専門家?にも多く、その頃、きちんと知識を持っていた人は、
悔しい思いをした人もいるはずです。

しかし
、平成11年の次世代省エネ基準で、気密工事が明示され、国が、方向を示した形になりました。 
今、色々な会社で、さかんに宣伝されるようになったのも、それからなのです。
家の新築を、考えて、情報収集されている方なら、一度くらい、目にしたことがあると思います。

また、今年には、
(平成15年夏)シックハウス対策のため、24時間換気の義務化も、始まりました。
いままで、「機械換気は好ましくなく、中気密
(どこまでを中気密なのか?)で充分だ。」という人もいたのですが
換気システムが、ある程度計画通りに働くためには、気密性能を高めていかないとだめなのです。
それに、
隙間の多い家にも、冬、0.5回以上の換気が加わるわけですから、寒さの面でも問題です。(寒冷地では特に)

現在、私の住む地方でも、少しづつこの工法で、建てられてはいます。 しかし、残念ながら全てではありません。
しかも、一般住宅では、数年前より断熱材は100mmになり、
(厚くはなったが断熱材が全て働いている状態ではない)
窓は高性能に変化しているのです。せめて壁体内結露を起こさない施工知識をもってもらいたいと思っています。

■ 今後

今後、私は、北海道以外の寒冷地はもとより、温暖な地域でも、この工法が一般化すると思っています。
ですから、現在の状況は、それまでの過渡期だと考えてます。



  トップページ             次へ 3. 断熱材について